最近若者のお酒離れと言われていますが、私はそんなことはなく、お酒を飲むのが大好きです。その中でもビールが好きで、それにお刺身、煮魚、おでん…はい、居酒屋にはとってもお世話になっています。さて、そんな私が飲みに行く場所を選ぶ方法について今回は書いてみたいと思います。
お店を調べるとき、まずインスタで「梅田グルメ」と検索します。そして、出てきたたくさんの投稿から「梅田グルメまとめ」と書かれたもので、少し古いニオイのする写真をタップします。つまり、料理だけがドアップで撮られている、フィルターなんて掛かっていない写真、ちょっと古そうなおしゃれじゃないフォントが使われている写真です。
その写真の投稿者のアカウントに進むと、「大阪グルメを追い求めて15年」や「2006年から記録」などと書かれており、投稿者が30代後半~50代であろうことがわかります。こういった人の投稿には壁に手書きのメニューが貼ってあるような昔ながらのお店や、だし巻き卵やポテサラ、シシャモなどのザ・居酒屋メニューがたくさん載っています。これらの中から、敷居の高くなさそうな、つまり私のお財布にも優しそうなお店を選びます。特に「昔ながら」「大衆的」というものが多いです。
なぜ、インスタを使うのか。それは、写真によって料理やお店の雰囲気が、パッと視覚的に分かり、知りたい情報を簡単に得ることができるからです。予約サイトのようにお店側が提供している写真だけだと、料理やお店のイメージがつきにくいですが、インスタのように実際にお店に行った人の投稿だと、リアルな写真でより信頼感があります。
なぜ、選ぶお店が「インスタ映え」ではなく「昔ながら」「大衆的」なのか。
1つ目の理由はおいしいビールが飲めるからです。兎にも角にも、こういったお店の料理はビールとよく合います!地元の人に愛されている、昔から変わらない料理はビールの美味しさを引き立て、私を満足させてくれます。
2つ目は、気を張らず心が休まるからです。こういったお店は客層が30代から60代の方々が多い印象で、地元の人がわいわいお酒を飲んでいます。隣の知らないご夫婦や少し年上のおじさまとも仲良くなれたり、「村上はいつ56号を打つんかね?」といった会話に入り込んでいったりもします。 年が離れているにも関わらず、話し相手になってくれることに人のあたたかさを感じます。そんな居酒屋空間でのひとときが、みんなとワイワイ飲むことが好きな私にとっては落ち着ける時間となっているのです。
~お店選びのプロセスで見つけた、わたしの価値キーワード~
居酒屋には、私を癒してくれる「ビールのおいしさ」と「人のあたたかさ」を求める。
(岸本麻里)
アナログ回帰と言われるZ世代。昭和世代の発信がZ世代の情報源となり、昔ながらの居酒屋へと導く循環がなんとも興味深い。
彼女と接していると、有り余る情報の中を軽やかに渡りながら情報をかぎ分けている印象がある。SNSでピンとくる情報を見つけ、直感的にフォルダに分けておき、ほしいときにいつでもサクッと取り出す。「映え」や「バズり」情報にアンテナを張りつつも、右へ左へと振り回されることはなく、「私はこう」と受け止めている。
家族と仲が良く、帰省したらおじいちゃんとお酒を飲む時間を大切にしている彼女にとって、気を張らずワイワイ過ごせる、「昭和感」漂う居酒屋がお気に入り空間なのも、とても自然な気がする。
肩ひじ張らず、「自分尺度」で居心地いいと感じる世界に自然と溶け込んでいく軽やかさ。
この世代の、とても素敵な「らしさ」だと感じる。(奥西有美)